[決済の延長と融資特約 ]
土地建物の売買契約の決済期限が買主都合により3度延長された後
し、履行遅滞による契約解除及び違約金を求めたのに対し、
約解除を主張した事案において、
れるとして、売主の請求を認めた事例(東京地裁 令和元年6月11日判決 ウエストロ
ー・ジャパン)
1 事案の概要
平成30年2月1日、買主Y(被告:宅建業者)は、
に第三者に買主の地位を移転させる目的で、売主X(原告:個人)
媒介により、Xとの間で下記内容の売買契約(本契約)
<本契約の概要>
・売買代金:9800万円、手付金:100万円
違約金:980万円、決済期限:同月28日
・融資解除特約:同月27日迄に、
的に解除となる。
・第三者のためにする契約の特約:Xは、
売買代金全額の支払いを条件として直接移転する。
本契約締結後、Yが指定する第三者は融資申込を行ったが、
済が困難となったことから、同月26日、Yは、Aを介してXに、
までの延長を依頼し、その了解を得た。
Yは、Aに、2月28日に契約書を修正したいことを伝え、3月4
約書を送付して再度契約書を作成・返送するよう求めたが、
な契約書を作成することはなかった。
3月28日、Aは、Yより、
てほしい旨の申入れがあったため、Aは、
4月9日、Aは、Xの同意を得た上で、 本契約の残代金が4月16日までに支払われなけれ
ば、Xは本契約を解除し、
Yに送付した。
4月20日、Aは、Yとの打合せにおいて、
まると聞いた。Aは、当該金融機関に確認を行い、
聞き、融資承認の可能性もあると考え、Xに連絡をして、5月末日
いて了承を得た。
5月17日、Aは、Yより、決済期限の 6月末までの延長を求められたが、5月23日まで
に中間金を入れるか、融資承認書を提出しなければ、
6月8日、Xは、Yに対し、
行い、その後、約定違約金の残額880万円を求める本件訴訟を提
Yは、本契約は融資解除特約により、2月27日に自動解除されて
万円の返還を求める反訴をした。
2 判決の要旨
裁判所は、次のとおり判示し、X の請求を認容し、Yの反訴を棄却した。
(融資解除特約による解除)
本契約については、決済期限を3月30日とする契約書は改めて作
とXとの間において、決済期限を2月28日から3月30日に延長
たと認めるのが相当であり、2月27日が経過した時点でも、
る当然解除がなされないまま、
Yは、2月27日の経過をもって、
土地建物の売買契約は締結されていないと主張するが、
る契約解除の通知はなく、2月28日以降も、
ことを前提にした行動をとっていること等から、
(決済期限の延長と融資解除特約の効力)
融資解除特約は、
ルティを支払うことなく契約を解除できるという特約であり、
であることは明らかである。
そうすると、本件のように、
特約の期限も同様に延長されるかどうかについては、改めて、
たといえる場合でなければ、効力を失うとみるのが相当である。
これを本件についてみれば、決済期限の延長は、
約については特に承諾を与えているとはいえないし、
とを前提にした行動をY及びAがとっていたと認めることもできな
したがって、本契約の融資解除特約は、決済期限が2月28日から
に、その効力を失ったと解するのが相当である。
(結論)
本契約は、融資解除特約による自動解約ではなく、
除されたものであるから、
求については理由がないから、これを棄却する。
3 まとめ
本判決では、買主の都合により決済期限が延長された場合に、
に延長されるか否かについて、
ば、効力を失うとみるのが相当であると判示しています。
本事案は、買主は宅建業者であり、
期に当たって、売主と買主の間で、
を欠いた事案と言えるが、決済日の延期に当たっては、
主の間で、融資解除特約等の関連する契約条項を含め、
くとも、