敷金・保証金・権利金の違いについて
1 敷金
賃貸借契約を締結するのと同時に敷金契約を締結し、その契約に基づいて借主から貸主に対して交付される金員です。
敷金契約を締結する目的は、借主が賃料の支払いを遅滞した場合に賃料債権に充当することその他賃貸借契約上の債務(例 退去時の原状回復義務)を担保することです。
賃貸借契約終了時に未払賃料や原状回復費用等が生じない場合には、貸主は借主に対して、受け取った敷金を返還すべき義務を負っています。
このように、敷金は、一時的な預かり金としての性格を有しています。
なお、近時の裁判例では、敷引特約(賃貸住宅明け渡しの際に、敷金(又は保証金)の一部を差し引く特約)が無効とされる事例が相次いでおり、注意が必要です。
2 保証金
敷金と保証金はほぼ同種のもので、敷金は保証金の一種と位置付けられます。
保証金も未払賃料の保証その他賃貸借契約上の債務を担保するために、借主から貸主に交付される金員です。
そのため、賃貸借契約の終了に際して、未払賃料その他賃貸借契約上の債務があればそれに充当することが可能ですが、それ以外の場合には、賃貸借契約の終了とともに借主に返還しなければなりません。
※以上のとおり、「敷金」と「保証金」は、呼称の違いはあっても実質的には同じ役割を果たす金員といえます。
3 権利金
権利金は、賃貸借契約を締結する場合、物件を賃借できる場所的利益の対価として、または、賃料の前払いとして、借主から貸主に支払われるものです。
借主が受ける利益の対価という性格上、原則として、賃貸借契約が終了したとしても受け取った金員を返還する必要はありません。この点が、未払賃料等の担保として差し入れられる「敷金」、「保証金」との違いです。
権利金は、借地契約や事業用建物の賃貸借契約を締結する場合に比較的多く交付されているといわれています。
以上