戸籍 用語集
■本籍・本籍地
戸籍が所属する場所のこと。
本籍は国内(領有権を主張しているものの実効のない地域も含む)ならどこにおいてもよく、変更も自由である。
例えば皇居と同じ場所を本籍地にする人も多い。
■筆頭者
戸籍の最初に記載されている人物のこと。
夫婦の戸籍では、結婚時に苗字が変わらなかった方の人物である。
住民票における世帯主と違い、生計を支えている人物である必要や、生きている人物である必要はない。
場合によってはゼロ歳児が筆頭者となっていることもある。
■配偶者(はいぐうしゃ)
結婚相手のこと。
基本的にはいずれかが戸籍の筆頭者で、もう片方が非筆頭者。
■養子
法的に相続権などを与えられた人のこと。
養子を受けいれる親は養親という。
戸籍上は男性は「養子」、女性は「養女」と記載される。
■特別養子
法律上の立場が実子とほぼ同じ養子のこと。
戸籍上は実子とほぼ同じ表記がされるが、戸籍に詳しい人であれば特別養子であると判断できる。
■嫡出子(ちゃくしゅつし)
結婚中または離婚後300日以内の女性が生んだ子のこと。
夫と血のつながりがなくても、嫡出否認もしくは親子関係不存在の訴えが可決されるまでは嫡出子である(これを嫡出推定という)。
なお、結婚後200日以内に生まれた子は、嫡出子としても非嫡出子としても出生届が出せる。
■非嫡出子
嫡出ではない子のこと。
嫡出子よりも相続の際に不利になる場合はない。婚外子とも呼ばれる。
■入籍
結婚・出生などにより、すでにある戸籍に入ること(要は戸籍謄本に本人の情報が記載されること)。
「入籍届」は、親が離婚した際、子を非筆頭者側が引き取って旧姓を名乗る場合に出すもの。
■除籍1
死亡、結婚、離婚などにより、ある人が戸籍から除かれること。電算化されていない戸籍謄本では、除籍されたひとの名前に赤ペンで大きくバッテンが書かれる。
用例「親が死亡により除籍された」⇔入籍
■除籍2
全員が除籍され、除籍簿に入った戸籍のこと。
全員の除籍により誰もいなくなった戸籍は除籍簿に入れられ、80年以上保存される。
80年以上は保存する義務はなく、市町村によっては廃棄が始まっている。
除籍は、本来的には相続等における証明としての機能を果たすが、同時に、意義のある史料でもあるため、歴史研究者などからは廃棄が始まっていることを問題視する意見も上がっている。
■分籍
一人だけ戸籍を分けること。
分けた当人が戸籍の筆頭者になる(その際に本籍地も設定できる)。
20歳以上で、結婚歴がなければ可能(結婚歴があればその時点で親の戸籍からは離れているので無意味であるし、離婚して夫婦で戸籍が分かれてもそれを分籍とは呼ばない)。
■転籍
本籍を別の場所に移すこと。戸籍内の全員が一緒に転籍することになる。
■就籍
出生届、就籍届などにより、これまで戸籍に記載されていなかった人が新しく戸籍に入ること。
■現戸籍・現在戸籍
現在使用されている戸籍のこと。⇔除籍(2)
■改製原戸籍
現行以前の戸籍制度の戸籍簿のこと。
現場では「現戸籍」と混同しないために「はらこせき」ともいう。
■昭和改製原戸籍
電算化していない自治体で、1948年制定の戸籍よりも前の戸籍のこと。
改製より50年保存される(延長論あり)。
■平成改製原戸籍
電算化済み自治体で、1948年制定の戸籍のこと。改製より100年保存される。
■再製原戸籍
汚れや不実記載などにより、戸籍再製の手続きが取られた場合の、古い方の戸籍のこと。
■電算化
事務の効率化のために、コンピューターで戸籍を管理すること。
電算化によって戸籍謄本はこのように変わる。
■未就籍児・未就籍者
親が債権者から夜逃げをしていたり、ストーカーやDVからの避難中であったりするなど、何らかの理由で出生届を出されなかった日本人のこと。
また、ただ単に生後14日以内で、まだ出生届が出されていない一般の乳児のことも指す。
■無戸籍児・無戸籍者・無籍者
戸籍に記載されていない人のこと。未就籍者も含む。
詳しくは「無戸籍者」を参照。
■職権消除(しょっけんしょうじょ)
担当者が職業上の権限によって、事実でない記述を戸籍から抹消すること。
例えば江戸時代生まれの人物の死亡届が出されていないような場合に行なう。